筋肉とがん治療

先ごろ、大阪大学の白山敬之特任助教(呼吸器内科) を中心とした研究チームによって、筋肉の量が多いほど、免疫チェックポイント阻害剤の効果が長続きするという発表(*1)が行われました。
これは、肺がん患者に対して免疫チェックポイント阻害剤を投与した際の効果について研究したものです。

筋肉とがんに関する研究は以前から行われていました。
例えば、サルコペニア、サルコペニアというのは、加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の双方が低下する症状を言いますが、サルコペニアのがん患者では死亡率が高いと言う研究結果は複数報告されていました。

神奈川がんセンターと横浜市立大学による研究(*2)では、筋肉の強度が胃がんの術後に起こる合併症と関連していると報告していますし、神奈川市立大学を中心とした研究(*3)では、サルコペニアが大腸がんの術後に起こる合併症と関連していると報告しています。

この様に、筋肉の強度や量が弱かったり少なかったりするほど、がん治療の予後が悪いと考えられてきました。

また、筋肉の量や強度という観点だけでなく、運動が治療成績を高めるとする報告も複数あります。
例えば、前立腺がんと運動の関係(*4)や、乳がんと運動の関係(*5)に言及した研究もあります。

私は、運動という活動がヒトのからだを活性化させ、その結果様々な好影響が得られるのだろうと思いながらこれらのレポートを呼んでいました。

もしかすると、筋肉の量や強度が治療成績に影響していたのかもしれません。

「筋肉がなければ損をする」というネガティブな話だけでなく、「筋肉量が多いほど抗がん剤の効果が良くなる」という「あれば得をする」と言うポジティブな研究結果は心強いものではないでしょうか。

参考文献

(*1)Impact of sarcopenia in patients with advanced non-small cell lung cancer treated with PD-1 inhibitors: A preliminary retrospective study.
Sci Rep. 2019 Feb 21;9(1):2447. doi: 10.1038/s41598-019-39120-6.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6385253/

(*2)Impact of preoperative hand grip strength on morbidity following gastric cancer surgery.
Gastric Cancer. 2016 Jul;19(3):1008-15. doi: 10.1007/s10120-015-0554-4. Epub 2015 Oct 14.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26466832

(*3)Preoperative evaluation of skeletal muscle mass in the risk assessment for the short-term outcome of elderly colorectal cancer patients undergoing colectomy.
Mol Clin Oncol. 2018 Jun;8(6):779-784. doi: 10.3892/mco.2018.1607. Epub 2018 Apr 13.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5958782/

(*4)Physical activity and survival after prostate cancer diagnosis in the health professionals follow-up study.
J Clin Oncol. 2011 Feb 20;29(6):726-32. doi: 10.1200/JCO.2010.31.5226. Epub 2011 Jan 4.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21205749

(*5)Physical activity and survival after breast cancer diagnosis.
JAMA. 2005 May 25;293(20):2479-86.DOI: 10.1001/jama.293.20.2479
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/200955


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