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近赤外線の弱点とその克服(近赤外線によるがん治療)

前回の話では、非常に有望な近赤外線治療にも弱点があることと、実はその弱点も克服されているというところで終わりました。
今回は、どの様にして克服されるのかをお伝えします。

外からでダメなら中から

近赤外線は、X線ほどには通り抜ける力を持っておらず、外から照射しても届く範囲には限界があります。
これは、外から当てようとするからダメなのであって、中から当てれば問題は解決します。

胃や腸、膀胱など管を通すことで届く場所には、内視鏡やファイバースコープを使って当てることが可能です。
そうでない場所であっても、例えば肝臓がんの治療に使われているようなラジオ波焼灼法の様に、腫瘍に直接針を差し込み、抜くと同時に近赤外線を出すファイバーを通すことも出来ます。

外からも中からもダメなら免疫細胞を使う

これまでの話は、全てがん細胞に直接近赤外線を当てることが前提の話でしたが、免疫細胞を使うことも考えられます。
ほとんどの方はご存知でしょうが、人間のからだは、外敵を排除する仕組みを持っていて、これを免疫と言います。

人間の周囲は、微生物や微細なホコリなどであふれており、これらは体の中に侵入して外敵となります。
免疫細胞は、これらを常に排除し続けています。
がん細胞も外敵なので、免疫細胞は排除しようとするのですが、がん細胞には免疫細胞に攻撃されない様な仕組みを持っています。

最近話題になっている、オプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害剤は、この攻撃されない仕組みを解除しますが、近赤外線治療もこの仕組を使うことが出来ます。

がん細胞を免疫細胞から守っている仕組みのひとつに、制御性T細胞というものがあります。
制御性T細胞は、がん細胞を攻撃しようとする免疫細胞を押しとどめることでがん細胞への攻撃を防ぎます。
制御性T細胞に選択的に結合するIR700をからだに注入し、そこに近赤外線を照射することで、制御性T細胞を破壊することが出来るのです。

制御性T細胞が壊れてしまえば、免疫細胞の攻撃を押しとどめることは出来ませんから、がん細胞は免疫細胞からの攻撃を受けることになります。
この場合、健康な細胞には影響がありません。
例えあったとしても、影響は軽微だと考えられます。
なぜなら、からだの正常な仕組みを邪魔していた制御性T細胞を取り除いただけなのですから。

近赤外線が当たっていないがん細胞にも

近赤外線とIR700での治療は、がん細胞を直接壊すことが出来ますが、近赤外線が照射されなかったがん細胞は壊れることがありません。
林久隆・主任研究員は、この様な漏れたがん細胞や、転移したがん細胞にも近赤外線の効果が見られると言います。

近赤外線を浴びたがん細胞は、細胞の表面が壊れてしまい死滅してしまいますが、この壊れたがん細胞は、免疫細胞にとっては格好の情報収集素材となります。

免疫には、からだが生まれながらにして持っている自然免疫と、生まれてからの生活環境によって取得した獲得免疫の二つの働きがあります。
獲得免疫の仕組みは、壊れてしまった外敵を取り込んだヘルパーT細胞が樹状細胞に外敵やその情報を提供し、樹状細胞によって教育を受けた免疫細胞が、外敵を発見して排除すると言う仕組みになっています。

近赤外線の照射で壊されたがん細胞は、外敵の情報源として最も効果的です。これによって、がん細胞を狙う免疫細胞を作ることが出来るという訳なのです。

登場まで後数年か

近赤外線治療は非常に有望な治療法だと考えられますが、研究はどの程度進んでいるのでしょうか?
林久隆・主任研究員によると、現在フェーズ2の段階にあり、出来ればこのフェーズ2を優秀な治療成績で通過して、あと2〜3年で、実用化したいと考えているそうです。

治療開発のステップはフェーズ1〜3まであり、それぞれの段階で結果を残したものだけが次のフェーズに進むことが出来ます。
フェーズ2で優秀な結果を残した場合には、フェーズ2を途中で打ち切り、最後のフェーズ3に進む事ができるのですが、林久隆・主任研究員はこれを狙っているとのこと。

出来れば、少しでも早く実用化されると良いですね。


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