ピンクリボン運動と乳がん

皆さんはピンクリボン運動というのをご存知でしょうか。
名前は知らなくても、こんなリボンのマークを見たことは無いでしょうか。

おや?と思われた方もおられるかも知れません。
色違いのリボンを見たことがある、と言う方もおられることでしょう。

ピンクリボン運動とは

Wikipediaによると、
1970年代のアメリカでは、派兵された兵士の無事を願って黄色いリボンをメッセージとして使う方法が広まっていました。
1990年頃、エイズの活動家たちがこのリボンをアレンジしたレッドリボンをメッセージとして使い始めたところ、様々な慈善活動のあいだでリボンをメッセージとして利用することが広まって言ったと書かれています。

ピンクリボンもまた、この時期に生まれたシンボルです。
ピンクまたはそれに近い色を使ったリボンを乳がんの啓蒙活動として使用する団体はいくつもありますが、これは現代の西洋諸国でピンクという色が、女性らしい色として認識されていることによります。
女性に特有の病気である乳がんを表すのにふさわしい色といえるでしょう。

日本でも、2000年ごろからピンクリボンをシンボルとした活動が行われるようになりました。
また1993年にアメリカで制定された、「ナショナル・マンモグラフィーデー」に因んで、毎年10月を「乳がん月間」として様々な企業や官公庁が取り組みを始めるようになりました。

乳がんに対する様々な取り組み

乳がんは、女性に特有の病気であることは誰もが知っていることと思いますが、もう一つ大きな特徴があります。
それは、多くは治療によって外見の変化を伴う病気であることです。

その変化は、女性としての心の拠り所を揺り動かす大きなショックでもあります。

このことから、様々な取り組みがなされています。

乳房を手術した方の下着や水着

例えばワコールでは、リマンマというブランド名で、下着や水着を販売しています。(リンク先は水着のものです)
http://www.wacoal.jp/remamma/item/swim.html

中には、普通の水着にパッドを組み合わせて利用しておられる方もおいでになります。
これは、mixiの記事ですが、片方の乳房を全摘出された方が着ておられる水着と、着用時の写真を載せておられます。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=914152&id=26777000

脱毛に対する取り組み

乳がんの治療に使う抗がん剤には脱毛を伴うものが多く、このことから、脱毛に関する取り組みもなされています。
下の記事は、日経電子版「乳がん患者の「きれい」を支援 ある美容師の思い」におけるものです。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22644580U7A021C1000000?channel=DF140920160927

“上野さんは「プロの美容師がアドバイスやサポートをすることで、抗がん剤治療による脱毛を経験した方々にも、きれいで、かわいく、カッコ良く、元気に暮らしてほしい」と考えて山内さんに賛同した。”
乳がん患者の「きれい」を支援 ある美容師の思いより引用

 

“ある患者が、ベリーショートのデザインができる程度に髪が伸びてきたので、「ウィッグを脱ぎましょう!」と勧めた。耳の周りの毛をカットしていたとき、彼女の目から涙がポロポロとこぼれ落ちたことに気づいた上野さんが慌ててどうしたのかと尋ねると、彼女は「ハサミの音が懐かしくて……。やっとこの状態まで来ることができた。日常生活に戻ってこられたと思ったんです」と涙声で答えたという。”
乳がん患者の「きれい」を支援 ある美容師の思いより引用

この様に思った以上に、外見の変化というものは、心に大きな影を落とすのです。

また、ヘアドネーションと言う活動も行われています。
ヘアドネーションというのは、髪の毛を寄付すると言う活動です。寄付された髪の毛は、脱毛で悩む様々な方々のために、ウィッグとして活用されています。
以前、「髪の毛の寄付(ヘアドネーション)を知っていますか?」と言う記事を書いていますので、参照してみてください。

化粧に関する取り組み

これは、乳がんに限ったことではありませんが、病気を患うことで、染みができたり、肌に張りがなくなったり、顔色が悪くなったりすることも珍しくありません。
これらもまた、患った方々の心に大きな影を落とします。

がんを始めとした患者様に向けた化粧に関しても、国立がんセンターの様な医療機関だけでなく、資生堂を始め様々な団体が取り組みを行っています。
具体的には、化粧に関するセミナーを開いたり、ウェブページで写真や動画を使って、化粧の方法を解説したりしています。

こちらも、以前「美容や化粧も治療に効果的(美容に役立つ3つのページ)」と言う記事を書いていますので参考にしてみてください。

まとめ

乳がんは、人類ががんとして認識したものの中で、最も古いものだと考えられています。
「癌」と言う字は、元々「岩」から派生してきた文字です。そして、「岩」と言う字は乳がんのことを指します。

全身麻酔を使った世界初の手術は日本人の医師、華岡青洲によって行われましたが、乳がんの手術でした。
人類とがんの戦いの歴史は、乳がんの歴史と言えるかもしれませんが、治療や医療と言う世界だけでなく、様々な世界で取り組みが行われているのです。