フコイダンとフコキサンチンの通販TOP > 大石先生の記事 > 初期の前立腺がんは手術をしてもしなくても生存率は変わらない?

初期の前立腺がんは手術をしてもしなくても生存率は変わらない?

先日MEDLEYというサイト*にて、
Follow-up of Prostatectomy versus Observation for Early Prostate Cancer.
N Engl J Med. 2017 July 13.
という論文が紹介されていました。

タイトルを日本語に直すと
「早期前立腺がんにおける、前立腺切除手術患者と経過観察患者の追跡調査」
というものです。

結論から先に書くと、早期前立腺がんでは前立腺を摘出した場合と経過観察をした場合の死亡率に、有意な違いが見られませんでした。

手術に割り当てられた男性は364人、経過観察に割り当てられた男性は367人いました。
手術をしたグループでは223人(61.3%)、経過観察をしたグループでは245人(66.8%)が亡くなられましたが、多くは前立腺がんとは無関係の理由で亡くなられています。
最長19.5年、平均でも12.7年間もの間追跡をしているのですから、寿命で亡くなられる方も多くおいでになるのです。

前立腺がんやその治療を原因として亡くなられた方は、手術に割り当てられたグループでは27人(7.4%)経過観察に割り当てられたグループでは42人(11.4%)でした。
数値的には手術をした人のほうが良い結果のように見えますが、4%程度の違いは偶然に左右される範囲だと考えられます。
もしも同じ研究をもう一度行った場合には、手術の患者の数値が4%悪くても全く不思議はないという意味です。

勃起不全や尿失禁が起こる確率は、手術をした患者の方が多かったものの、前立腺がんが進行して治療を行う必要が起きた割合は手術をした患者の方が少なかったとあります。

経過観察と摘出手術、どちらを選ぶにせよ、お医者様やご家族の方と相談して決定されることでしょうが、ご自身の気持ちを大事にして選ばれればよいかと思います。

限局性の前立腺がんと進行性の前立腺がんは違うものかもしれない

先程の論文は、初期の前立腺がん(腫瘍が前立腺に留まっていることから、限局性と呼ばれる)の治療、手術と経過観察での違いについての話でした。

限局性の前立腺がんが進行して、進行性の前立腺がんになると考えれば、経過観察は非常に不安の残る手段です。
しかし実際には、約20年間もの間追跡調査をすることが出来ているわけです。

まだ確立された話ではありませんが、いくつか興味深い研究結果があります。
どちらも、国立がん研究センターによる発表です。

ひとつは、緑茶飲用と前立腺がんとの関連について

今回の研究では、進行がんで特にリスクの低下が見られました。これは、緑茶中のカテキンが、腫瘍がひろがること(浸潤)を阻害し、転移のときに多く発現するmatrix metalloprotease 2 (MMP-2)という物質の発現(細胞で遺伝情報をもとにタンパク質が合成されること)を抑制することが、実験研究で報告されていることからも説明ができます。また、進行がんの方がアンドロゲンレセプターの発現が多いので、カテキンのテストステロンやアンドロゲンレセプターを抑制する効果が、進行がんでより強い、とも考えられます。
緑茶飲用と前立腺がんとの関連について
(国立がん研究センターのページより)

リンクより確認頂くとわかりますが、限局性の前立腺がんにおいては、緑茶は全く役にたてていませんでした。

もうひとつは、血中イソフラボン濃度と前立腺がん罹患との関連について

多目的コホート研究では、すでに、食事摂取頻度アンケートから算出されたイソフラボン摂取量と前立腺がんの関連について、イソフラボン摂取量が高いグループで限局前立腺がんリスクが低くなる、と報告しています。血液を用いた今回の研究も、摂取量で評価した結果と同様に、イソフラボンの血中濃度が高いと、限局する前立腺がんのリスクを低下させる、という結果でした。
血中イソフラボン濃度と前立腺がん罹患との関連について
(国立がん研究センターのページより)

リンクより確認頂くとわかりますが、今度は進行性の前立腺がんにおいては、イソフラボンは全く役にたてていませんでした。

限局性の前立腺がんと、進行性の前立腺がんが同じ病気であると考えると、ここまで結果が異なるというのは少々疑問の残る結果です。
もしかしたら、限局性の前立腺がんと、進行性の前立腺がんは性質が異なるのではないかと考えられるというわけです。

緑茶は1日5杯以上、大豆イソフラボンの具体例はありませんでしたが、毎日の味噌汁や豆腐といった食事で十分かと思われます。
誰も先のことは分かりませんので、前立腺がんの予防には、緑茶と大豆イソフラボンどちらも摂るのが正解といえるでしょうか。

注記

*早期前立腺がんを手術しないで19年半観察した結果(MEDLEY)
https://medley.life/news/5966e5464edbfb4e098b456f/

緑茶飲用と前立腺がんとの関連について
(国立がん研究センターのページより)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/310.html

血中イソフラボン濃度と前立腺がん罹患との関連について
(国立がん研究センターのページより)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/336.html


よくわかるフコイダン入門
0

お知らせ

  • お知らせはございません。