認知度は高いのに利用者はごく僅か?(セカンドオピニオンとその実態)
セカンドオピニオンが大事なことだと、このページだけでなく様々なところで言われています。では、現実にはどうなのでしょうか?
平成24年に発表された厚生労働省の調査*から紐解いてみましょう。大事なことなので、最初に断っておきますが、セカンドオピニオンを受ける病気は「がん」に限りません。
今回のデータも「がん」ではなく、病気の種類は限定されていません。
知らない人は減ってきたが、必要性の浸透にはまだまだ
どんなに小さく見積もっても1割、大きく見積もれば2割近くの患者はセカンドオピニオンを知らないという実態が見て取れます。
民間企業のファイザーががん患者を対象に2012年に調査したものを見たことがありますが、そのデータでも2割近くの方がセカンドオピニオンを知らないと回答していました。
多くの方が名前くらいは知っているとは言え、半数近くの方は必要性を感じておられません。
風邪で外来に来て他の病院を紹介して欲しいというのも変ですし、どんなアンケートも答える人が、ご自身の体験に基づいて回答されるわけですから、この事自体は問題ではないと思います。
では、何が問題なのでしょうか。
必要性を感じているのに受けていない人が多い
次の表は、実際に受けたことが有るかどうかを聞いたものです。
受けたことがある人は、せいぜい1/3で、それ以外は受けたことがないというのです。
受けるほどの病気にかかったことがない、かかっていないと考えている人もずいぶんと含まれていることでしょう。
そう考えると、少々実態が異なってきそうではありますが、それにしてもですよ、必要性を感じた人と受けたことがある人を掛けると、実際に受けたことがある人は1割未満に過ぎません。
この調査は、外来・入院の表記を見てもわかるように、現在進行形で病気にかかり病院を受診している方々に聞いているわけで、健康な人に聞いているわけではありません。
誰もが大病を患うわけではありませんが、生涯で2人に1人はがんを患うと言われている昨今です。慢性の病気、高血圧なんかは厚生労働省の最新調査では継続受診者数が1010万人です。
高血圧なんて薬飲んでりゃとか、塩減らせばとか、要因は色々あると思うのですが、他のお医者さんの意見を聞いたことが無いなんて、どうもまだまだ、本当に浸透しているようには思えません。
セカンドオピニオンを受けた際の満足度はかなり高い
まだまだ浸透しているとは言い難いセカンドオピニオンですが、受けた結果はどうなのかと聞くと、8割近くの方が満足しておられます。
どう見ても、試して見たほうが良いとしか思えないのですが、なぜ浸透しないのでしょうか?
受けない理由は、気おくれと情報不足
なぜ受けないのか、それを調査した結果が以下のグラフです。
一番多いのは、どうしたら受けられるかわからないと言うものです。
こんな調査が公表されているくらいですから、国も色々と工夫していることは間違いありませんが、国民に伝わってないというところでしょうか。
ただ、難しい話は何も無いのです。主治医にセカンドオピニオンというのを受けてみたい。そう言うだけで話が動きます。
もう一つ大きな理由は、受けたほうが良いのか判断できないというものです。
これはかなり大きな課題だと思います。少なくともがん患者さんに関しては私は「全員」推奨しますけれど、言われてみれば病気ですよと言われて、治療法を提示されて、他の病院に話を聞きに行きますと言う判断に行き着く筈もないです。
ここは、医療機関にと言うよりも、国がセカンドオピニオンのセンターみたいなのを作ると良いのかもしれません。
ちょっと夢みたいな話なので、これは置いておいたとして、もう一つの理由は言いづらいと言うものです。
ただ、これはお医者様の方は、そこまで嫌がっていないのではないかと思います。
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」が2015年にとったアンケート結果では、セカンドオピニオンを求められても信頼関係に悪影響があると思うと答えたのは1割に過ぎませんでした。
このアンケートは、「がん以外」と言う条件がついているのですけれど、同じお医者様です。がんを診たことがある人が特別だったりすることも無いでしょう。
1割の先生に当たったら・・・
そう考える気持ちは分からなくも無いですけれど、1割に当たった場合には、たまたま相性の悪いお医者様だったのだと切り替えて、他の先生と信頼関係を築いたほうが良いのではないでしょうか。
注記
*平成 23 年受療行動調査の概況 – 厚生労働省(記事中のグラフは下記の記事より引用いたしました)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/11/dl/gaikyo-all.pdf