がんの様々な治療 ー 手術

がん治療には、三大療法と呼ばれる治療方法が存在します。
「手術」「放射線」「抗がん剤」がこれに当たるのですが、そのリーダー格が手術です。

優れた治療成績

リーダー格と呼ばれる理由は、その治療成績にあります。
手術をする場合、基本的には根治を目的として行いますので、勝算がない手術は行われることは少ないと言えます。
とは言え、手術が治療として非常に効果的であるということは、間違いのない事実です。

からだへの大きな負担

しかし、問題はからだへの大きな負担です。
からだを大きく切って開けるわけですから、大変なことは想像に難くないでしょう。
患部だけでなく、場合によってはその周囲も切り取ってしまうのですから負担が軽いはずがありません。

よく、手術をしたら内臓が元の位置に戻るまでお腹の中で内臓が勝手に動く、などと言いますが、それは本当です。
また、開腹手術をした場合には、内蔵がくっついてしまう可能性もあります。
もちろん、様々な対処法もあり、余程のことがなければ内臓がくっついたままになってしまうようなことはありません。
そんなことにならないようにと、技術を高めたり対処法を開発したりと多くの医師や研究者が努力しています。

しかし、開腹して手術を行う限りは、ゴッドハンドの異名をとる先生方でも完全に避けることが出来ないのが現状です。

切開範囲が大きいと、流れ出る血液の量も増えます。
手術が終わって縫合しても、大きく切開したものが癒着するには時間がかかりますし、流れ出た血液も、場合によっては輸血をしなければ足りなくなります。

この様なからだへの大きな負担から、多くは入院が必要となることも特徴です。

低侵襲化:短所を克服するための試み

これら短所を克服するために、様々な手術の技法が開発されていますが、基本的には「低侵襲」と呼ばれる考え方が中心となっています。

手術の短所は、何と言ってもからだへの負担が大きいことです。
侵襲とは、人間のからだに害を与えるあらゆることを指しますが、手術は人体を切ると言う、もっとも重大な侵襲を前提とする治療法です。

手術によって切る範囲を出来るだけ狭くすることが出来れば、
・出血が少なくて済む
・傷口が小さい
・手術の範囲が狭いので回復も早い
・回復が早いので入院期間も短い
・手術の範囲が狭いと、周囲の組織に与える影響が少ない
・手術後の疼痛(強い痛み)が出ることも少ない
という事になります。

次回は、実際にどのような低侵襲化が実現されているかを見ていきたいと思います。

それでは。