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日本の肺がん患者罹患率の不思議

先日、日経電子版で、「日本のがん患者なぜ減らない 米国は減少、検診に差」(*1)という記事を読みました。

WHOの数値で肺がんの罹患率を2000年と2010年で比較した際、アメリカでは21%減少した一方で、日本では6%増加しているのだそうです。

確かに、国立がん研究センターの統計データ(*2)で確認すると

2000年の肺がん罹患率が、35.9%、2010年の罹患率が40.8%と、4.9%上昇していました。

(数値が偶然振れただけかも知れないと思ったのですが、先程のデータを見ると2010年だけが特別な数値というわけではありませんでした。)

罹患率の高さは日本の喫煙率が高いことが理由だと言われています。

広島県医師会のページで公開されている、「日本とアメリカの喫煙率の推移」(*3)と言う記事を見ると

1965年における日本人男性の喫煙率は、なんと82.5%もあります。同時期のアメリカ人黒人男性の喫煙率はおよそ60%です。

年を経るごとに喫煙率は低下してゆき、1995年には日本人男性58.8%に対しアメリカ人男性の喫煙率は30%を切っています。(*4)

1965年からの30年で、アメリカ人の喫煙率はおよそ半減に対し、日本は3割減程度です。

しかしながら、喫煙率が低下しているのになぜ日本では増加したのか?というのが釈然としないのです。

がんは、高齢者の病気でもありますので、高齢者が増えるほど数値が悪化します。

日本は世界に類を見ない超高齢社会ですので、がん患者の数が増えるのは特に不思議はないのですが・・・

今回参照したのは、年齢の影響を排除するために作られた「年齢調整罹患率」というものです。

2000年のデータも2010年のデータも同じ組織が同じ手法で作った数字です。

となると、高齢化は全く理由になりません。

早期発見できるようになったのかも?と思ったのですが、今回の比較対象はアメリカです。

アメリカよりも日本のほうががんを見つける技術が高いとは思えません。

もしも技術が優れていたとしても、10年間でおよそ5%も数値が上昇する理由にはなりません。

肺がん検診の受診率は少々上がっています。

2004年に16.7%だった受診率が、2010年では24.9%に増えています。2000年の数値はありませんでしたが、もっと低かったことでしょう。

そもそも日本人のがん検診受診率は、先進国中でも極めて低いといえます。(*5)

肺がんのデータは見当たりませんでしたが、乳がんでいうと

OECD加盟国の比較では、アメリカが80.8%に対し、日本は40.1%の受診率です。

次に悪いオーストラリアでも54.2%です。

お隣韓国は、2004年には36%と低かったものの、2016年には65.3%となっています。2004年の日本は23.3%です。

しかし、受診率の低さは「死亡率」には関係するかと思いますが、「罹患率」には関係しないはずです。

タバコを吸ってすぐに肺がんになるわけではありませんので、およそ20年から30年のタイムラグがあると考えられます。

1970年~1980年にかけて、日本でなにか肺の環境を悪化させるような要素があったのかも知れません。

色々と調べて回りましたが、今回は理由を見つけることが出来ませんでした。

参考文献

(*1)日経電子版 出世ナビ「日本のがん患者なぜ減らない 米国は減少、検診に差」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO42090620W9A300C1EAC000/

(*2)国立がん研究センター がん情報サービス がんに関する統計データのダウンロード
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#incidence4pref

(*3)広島県医師会 9 日本とアメリカの喫煙率の推移www.hiroshima.med.or.jp/kenmin/kinen/img/atlas/09.pdf

(*4)広島県医師会の記事では、詳細な数値はわかりませんでした。黒人男性の数値を挙げたのは、黒人男性のほうが喫煙率が高かったからです。後段でアメリカ人男性としたのは、黒人・白人ともに似たようなグラフだったことが理由です。

(*5)がんの統計’17 公益財団法人 がん研究振興財団