フコイダンとフコキサンチンの通販TOP > 健康に関するコラム > 乳がんと朝の日差し(小林麻央さんのブログを見て)

乳がんと朝の日差し(小林麻央さんのブログを見て)

乳がんと聞くと闘病中の小林麻央さんが、日々ブログを更新されていることをご存じの方も多いかと思います。*
その中に、朝日と言うタイトルで書かれたブログに興味深いことが書かれていました。

全文は、実際にブログを訪問して見ていただくとして、文中にこんなことが書かれています。

乳がんと朝日はとても関係が深く、朝日を浴びることがとても大切だそうです。

 

(本では、毎日早起きし、外で軽くウォーキングをしながら朝日を浴びることで睡眠の質が変わる と読みました。)

では、乳がんと朝日にはどんな関係があるのでしょうか?

朝の日差しが持つチカラ

昔から、早寝早起きは健康に良い、早起きは三文の得などと言われています。
これらは、元々は人々の長い経験から来る言い伝えに過ぎませんでしたが、今では幾つかの面から科学的に見ても妥当なのだそうです。

体内時計という言葉を聞かれたことがあるかと思いますが、人間の活動は、この体内時計によってリズムが形作られています。
最も基本となる体内時計は、細胞一つ一つに備わっているのですが、60兆個もの細胞それぞれの細胞が単独でリズムを取っているわけではありません。
人間の生活リズムを調整するなかで最も上位に位置する体内時計、視交叉上核(別名マスタークロック)が、その大事な働きを担っています。

この体内時計は、非常に優れたものですが、普段使っている24時間周期の時計に対応しているわけではありません。
ベースになっているのは、概日リズム(およそ1日という)余裕をもった作りになっています。

時差や季節差が存在する地球上でピッタリ24時間の時計を体内に持っていたとするならば、非常に不便で使えないものとなりますが、およそ1日というリズムを毎日調整して使う仕組みのお陰で誰もが普通の生活をすることが出来ます。

この毎日の調整を行ってくれるのが「日光(光)」です。
目から入った光が網膜に当たり、その反応が、先程のマスタークロックに伝わって、調整するという仕組みです。
ですから、手だけ光に当てても意味はありません。

別に朝日でなくてもいいのですけれど、マスタークロックは、
1.日中活動して、夜は休息すると言うリズムを基本としている
2.およそ1日と言うタイマーなので、リセットされた時間から活動を調整しようとする
という2つの理由から、同じ光であるならば「朝日」が最も人間に適した生活リズムをもたらしてくれるということです。

乳がんと朝の日差し

生活リズムが整うということは、小林麻央さんが言うように睡眠の質を高めてくれる働きがありますが、乳がんにも良い影響があるかもしれません。

それは、がん細胞の根幹に関わっているのが、細胞レベル・遺伝子レベルの体内時計であることが理由だと考えられます。
体内時計は、ひとつひとつの細胞にも備わっていることを書きましたが、そのひとつがP53と呼ばれる遺伝子です。
このP53は、細胞の生死をコントロールする働きがあるのですが、がん細胞の多くはこのP53遺伝子が壊れています。

現在では、がんの原因のひとつとして不規則な生活習慣があると考えられています。
下のページは、体内時計の乱れとがんについての京都大学による研究発表です。

2013年9月20日 がんと概日リズムの新たな関連の解明に成功 ー 京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013/130920_1.htm

冒頭部分を一部引用いたしますと

近年のライフスタイルの多様化により規則正しい生活を送れない人々が増加してきています。
大規模疫学研究によると、不規則な生活とならざるを得ないシフト勤務者では、がんの罹患率が有意に上昇していることが報告されています(図1)。これにともない、シフト勤務は、国際がん研究機関(IARC)で、ヒトに対する発ガン性があると考えられるグループ(グループ2A)に分類されました。これは、子宮頸がんを引き起こすとされるヒトパピローマウイルス(31、33型)と同じ分類に入ります。このことから概日リズムの破綻とがんの発生には重要な関連があることが示唆されます。

この様にマスタークロックは、直接全ての細胞の時計を調整したりはしませんが、普段の生活が不規則だった場合、それぞれの細胞が持っている体内時計も徐々にずれていくのでは無いかと考えられています。

下のページは、細胞レベル、遺伝子レベルでどのような事が起こっているのかを研究している方の記事です。

2010年8月 産総研TODAY
https://unit.aist.go.jp/bmd/result/file/vol10_08_p08.pdf

この様に、体内時計(概日リズム)を適切に管理することは、がんにも良い影響を及ぼすのではないかと考えられます。

出来るだけ規則正しい生活をすることでより健康的な生活が出来るというのは、単なる言い伝えやうわさ話を超えて、今では科学的にも根拠のある話として、世界中の研究者が取り組んでいるのです。

注記

* 本記事執筆時2017年5月25日時点のことです。その後2017年6月22日に亡くなられました。ご冥福をお祈りします。