フコイダンとフコキサンチンの通販TOP > 未分類 > DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)とフコイダン

DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)とフコイダン

生まれてこの方お薬と無縁だという方は多分おいでにならないと思います。
薬局で売られているお薬だと箱の中やパッケージに、お医者様からのお薬なら処方箋やお薬手帳などで注意書きが添付されています。
この注意書きのことを、昔は(効)能書きと呼んでいまして、「能書きを垂れる」という言葉の語源はここから来ています。
少し話がそれましたが、
この「効能書き」のことを今は「添付文書」などという呼び方をするのですが、

1.お薬の外見
2.お薬の目的(治療対象となる病気や症状について)
3.お薬を飲む量
4.お薬を飲むタイミング
5.お薬を飲むことによって起こる可能性がある副作用

この様な情報が書かれています。

では、なぜこの様な情報が書かれているのでしょうか?
「法律で決まっているから」だとか「何か問題が起きた時の言い訳に」と言うのもありますが、大きくは「薬が目的を達成出来る様に」ということだと思います。

薬を売りたいわけですから、良い評判が欲しいわけです。
そして、薬にとっての良い評判と言うのは「大きな問題もなく良く効いた」と言うことに他なりません。

「大きな問題もなく良く効く」言葉では簡単に書くことができますが、事はそう簡単ではありません。
そもそも、良く効く=効果が強いと言うわけですが、効果が強ければ強いほど、病気以外への影響も強くなり「副作用が強くなる」傾向にあります。
すなわち「問題が発生している」という訳です。

この問題を解決する手段のひとつが、いわゆる添付文書です。
添付文書を通して「ちょうどよい量」のお薬を「適切なタイミング」で飲むための情報を提供することで「大きな問題もなく良く効く」と言う理想に近づこうとしているわけですね。

広義のドラッグ・デリバリー・システムとその考え方

ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)も「大きな問題もなく良く効く」と言う理想を目指すための技術です。
もう少し踏み込んで言えば、「必要な場所に」「必要なタイミングで」「必要な量の薬を届ける」技術となります。

難しい様な気がしてきますが、大きくは添付文書もDDSのひとつと言えるでしょう。
空腹時に飲んだほうが良いお薬なんかは、食事などから受ける影響を最小限に抑えることで「必要な量をからだの中に取り込む」ことを目指しているわけです。

随分昔からある「腸溶錠」なんかもDDSのひとつですね。腸に届いたタイミングでカプセルが溶けることで効果を高める狙いがあります。

近年のドラッグ・デリバリー・システムとフコイダン

様々な形で模索されてきたドラッグ・デリバリー・システムですが、最近は目的の器官どころか「目的の細胞」に、薬剤をピンポイントで届ける研究がなされています。

その手法には様々なものがありますが

1.ターゲッティング:目的の部位に集中的に薬剤が集まる仕組み
2.放出制御:目的の部位付近で薬剤が放出される仕組み
3.バリアー通過・吸収促進:目的の部位に薬が届きやすくする仕組み

大きくは上の3つがあります。

それではどうやって、目的の細胞や病変だけに薬を集めているのでしょうか?

以前ご紹介した、フコイダンを使ったMRIの血栓造影剤は、ターゲッティングに属するDDSと言えるでしょう。
血栓造影剤の場合は、血栓にP-セレクチンが多く発生することから、P-セレクチンを目印にしました。
フコイダンはP-セレクチンに親和性が高く、結合しやすい特徴があります。
そこで、超微細な磁性体をフコイダンと結合させることでP-セレクチンが多く発生している血栓に磁性体が集中することとなり、MRIでの撮影時にしっかり写る様になったというわけです。

他の例をあげると、抗がん剤のドキソルビシンとフコイダンと金を結合させたもの(DOX-Fu AuNP)を使った研究があります。1)
ナノサイズの金の粒子にフコイダンの毛が生えて、先端にドキソルビシンがくっついている。そんな形をイメージしてもらえれば良いかと思います。

この粒子は、乳がん細胞の造影剤として一定の評価を得ていることから、乳がん細胞に集中的に集まり効果を発揮すると考えられています。

この様にフコイダンは、ドラッグ・デリバリー・システムを担う素材のひとつとしても注目、研究されているのです。

1)Doxorubicin-loaded fucoidan capped gold nanoparticles for drug delivery and photoacoustic imaging.
Manivasagan P, Bharathiraja S, Bui NQ, Jang B, Oh YO, Lim IG, Oh J.
Int J Biol Macromol. 2016 Oct;91:578-88. doi: 10.1016/j.ijbiomac.2016.06.007.