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アルコールやウィルス以外にも原因が(肝臓がん最新研究)

肝臓がんと言えば、原因のほぼ大半が「ウイルス性肝炎」→「肝硬変」→「肝臓がん」というステップをたどることが知られており、数少ない原因が明らかながんのひとつです。
また、過度な飲酒習慣から、肝臓を痛めてしまい、「肝炎」→「肝硬変」→「肝臓がん」というステップをたどることもあります。

今までは、上記の二つで発生原因の9割以上が説明できていました。

NASH(非アルコール性肝炎)による肝臓がん

これ以外の原因として、最近注目されているのが「NASH」(非アルコール性肝炎)です。
以前ご紹介したのは、肥満の人が肝臓がんにかかりやすいという、国立がん研究センターの研究発表でした。

肥満になるような生活習慣によって、肝臓に脂肪が蓄積されてしまうことも然ることながら、肥満による腸内細菌のバランス変化が「2次胆汁酸」増加につながり、肝臓にたどり着いた2次胆汁酸が、肝臓に悪さをするという内容です。

胆汁酸以外にも原因はあった。カビによる肝障害の悪化

冒頭に書いた、肝炎から肝臓がんへの流れは、いわゆる「肝障害悪化」のステップです。
2017年7月13日に理化学研究所から発表されたプレスリリースによると、肝障害が悪化する原因のひとつを解明したとのこと。

その原因は、カンジダ菌という真菌(カビの菌)にありました。
理化学研究所では、過去の研究によって、アルコール性肝炎や非アルコール性肝炎の患者の肝臓では、細胞質にあるはずの酵素(TG2)が細胞核に集まり、肝細胞が死滅しているという発見をしています。

その時に肝臓内に「カンジダ菌」を発見していましたが、「カンジダ菌」がどのような影響を及ぼしているのかはわかっていませんでした。

今回の発表では、カンジダ菌は肝臓の中で「活性酸素」を作り出し、作り出された活性酸素が酵素(TG2)を細胞核に集める手助けをし、肝細胞死滅の原因となっていることがわかったのです。

カンジダ菌そのものは、多くの方の大腸にいる、そこまで珍しくないものです。
健康な方々の場合には、大腸のバリア機能が正常なことから、カンジダ菌が体内へ侵入することはありませんが、アルコール性肝炎や非アルコール性肝炎の患者においては、バリア機能が壊れていることが知られています。

バリア機能が壊れているために、カンジダ菌の侵入を許してしまうというわけです。

肝機能障害や肝臓がんのこれから

肝臓がんは、原因がはっきりしていると言う特徴を持つがんです。
日本の場合は圧倒的に「肝炎ウィルス」を原因とするのですが、治療方法が確立されつつ有ること、予防接種での注射器使い回しの禁止など様々な対策により減少の方向にあります。

これからウィルスを原因とする肝臓がん患者の総数が減ってゆく中、アルコール性、非アルコール性の肝炎を原因とする肝臓がん比率が高まってくることが予想されます。

これらを考えたときに、今回の発表は大きな一石となるのではないでしょうか。

参考

カビによる肝障害悪化メカニズムを解明
-カンジダ菌は活性酸素を産生しタンパク質架橋酵素の核移行を招く-(理化学研究所)
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170713_2/