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がん治療にも大いに役立つスマートフォンとアプリケーション

スティーブ・ジョブズが電話を再発明してからおよそ10年。今では多くの人々の手元にはスマートフォンがあります。
iPhoneが登場してからたった10年でここまで世界が変わるとは誰も思ってなかったのではないでしょうか。
SoftBankが日本で発売するときには、多くの有識者が「こんなものは売れない」と、NTTdocomoのiモードによる支配は揺るがないと思っていました。
ところが今では、NTTdocomoもauもSoftBankも、様々なスマートフォンを発売しています。

カメラ、インターネット、メール、音楽など、スマートフォンには素晴らしい機能が満載されています。
中でも最も素晴らしいのは、好きな「アプリケーション」を使うことが出来るという点です。

この特性が、がんを患う人の手助けをすることが出来るのです。
もちろん、がんに限ったわけではありませんが、今回はがんを中心に見てゆきましょう。

世界初の乳がん患者向けアプリケーション:Share The Journey

2015年に、AppleはResearchKitという、医学研究に特化したソフトウェア開発ツールを発表しました。
ルールを守れば誰もが自由に利用できるオープンソースのこのツールは、世界中の医学研究者によって使われています。

Share The Journeyは、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で開発された、乳がん患者に向けたアプリケーションです。
2015年の3月に発表されました。
このアプリは、乳がんにかかった方々の日々の生活や症状、対応方法を収集して分析し、数多くの乳がん患者同士で共有することを可能にしました。

それだけでなく、乳がんにかかっていない人も使うことが出来、予防やリスクについてのデータを収集して、研究に役立てたり、アプリケーションを使う人達全員で共有されたりしています。

残念ながら日本国内では利用することは出来ませんが、世界に先駆けて素晴らしい取り組みがなされていることを皆さんにご紹介させていただきました。

当時のプレスリリースページは
http://newsroom.ucla.edu/releases/ucla-cancer-research-pioneer-works-with-apple-on-mobile-app-to-track-breast-cancer-survivors-experiences

Share The Journeyのページは
http://sharethejourneyapp.org

どちらも英語で書かれていますが、ご紹介しておきます。

アプリケーションががん治療に役立つことを臨床的に明らかにしたMoovcare?

米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、世界で最も大きな注目を集めている学会のひとつです。
毎年様々な研究結果が発表されるのですが、Moovcare?はウェブアプリによる経過観察で生存率の大幅な改善を示しました。

フランスの腫瘍内科医Fabrice Denis氏とイスラエルの企業が共同開発した同アプリは患者や家族が自宅で入力した患者の症状の変動を12の臨床症状に基づきアルゴリズム解析し、医療チームにその結果をテキストメッセージで送信する。患者の病状に特異的な変化があれば、医師にメールで通知を行い、新たな検査や受診の検討を促す。
2016/6/23 m3.comの記事より引用

臨床試験に参加した患者はステージIIIまたはIV、参加者は133人と少々心もとない点は否めませんが、Moovcare?を利用した人々はより長い生存期間となりました。
全生存期間の中央値が7ヶ月延びたというのは、非常に素晴らしい結果であり、何よりもアプリケーションを使った体調管理が生存期間を大きく改善することを「臨床試験」で明らかにしたのは素晴らしい成果だと思います。

国立がんセンター発のアプリ「がんQOL」

「がんQOL」と書いて、「がんコル」と読むそうですが、このアプリケーションを分かりやすく言うと、毎日の体調を記録し、入力した方がご自身の体調を客観的に判断することが出来るツールです。

もうひとつ大事な点は、利用者が入力したデータががんセンターの研究に役立てられるという点です。

以前、記事にも書きましたが、「隣の同僚や上司、部下ががんを患う」そんな社会がもはや目の前に来ています。
もはや、がんは不治の病ではありません。

不治の病ではないということは、「治療をしながら働く」「治療後に働く」ことが当たり前になります。
そんな社会を後押しするための研究ツールとして開発されたのが「がんコル」です。

国立がん研究センター中央病院は2017年5月26日、働きながら治療を受けているがん患者の労働生産性の実態を、iPhoneアプリで調査する研究を始めた。がんの治療と生活の質(QOL)の関係を明らかにすることで、副作用管理や事業所における配慮のあり方など、療養環境を改善するための指標を構築することを目指す。
日経デジタルヘルス 2017/05/29 「働くがん患者」の生産性の実態、iPhoneアプリで迫る より引用

実はこのアプリケーション、ResearchKitを使って開発されていますので、今のところはiPhoneでしか使えません。
興味のある方は、下記のリンクよりダウンロードしてみられてはいかがでしょうか。
https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%B3%E3%83%AB/id1234444324?mt=8

スマホアプリとがん治療

今回の記事では、スマホアプリでがん治療(がん研究)やケアを行っている例として

パイオニア的な存在としての、Share The Journey
臨床的な効果を初めて明らかにした、Moovcare?
国立がんセンターが開発した「がんQOL」

をご紹介させていただきました。
実際にダウンロードできるのは「がんQOL」だけですが、他にも役立つアプリは存在します。

これらは次回以降の記事でご紹介させていただきますので、お待ち下さい。
それでは。

注記

Share The Journey
http://sharethejourneyapp.org

2016/6/23 m3.com記事
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/435582/

国立がんセンター みんなで取り組む研究アプリ 「がんコル(QOL)」のご案内
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/gan_qol.html
「がんコル(QOL)」for iPhoneダウンロード用リンク
https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%B3%E3%83%AB/id1234444324?mt=8

日経デジタルヘルス 2017/05/29 「働くがん患者」の生産性の実態、iPhoneアプリで迫る
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/327441/052600203/?ST=health