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免疫力を高めるってどういう意味?

「免疫力を強化する」日常でもよく交わされる健康関連の言葉かと思います。
ただ、多くの人は、何となく「病気にかかりにくいだろう」「病気が治りやすいのだろう」程度にしか考えていないと思います。

免疫力とは?

一般的な方々がぼんやりとイメージしているような、ともすれば魔法のような、あたかも万能でもあるかのような免疫力というものは、そもそも存在しません。

からだを外敵や異物から守るシステムのことを免疫と言います。
外敵や異物の例には、細菌、ウイルス、ダニ、ホコリなどが挙げられます。

最終的にこれらの外敵や異物は排除されるのですが、排除システムの種類には大きく3つあります。

最初のひとつが、自然免疫、次が獲得免疫と呼ばれるものです。

自然免疫

自然免疫というのは、先天的に準備された、汎用性がある排除システムを言います。
自然免疫は、基本的なシステムであり汎用性があるので、ホコリや極々小さな鉱物のようなものですら排除出来ますが、万能というわけにはいかず、対応できない場合があります。

働きの中心となるのは、白血球と呼ばれる細胞群です。

獲得免疫

獲得免疫というのは、自然免疫とは異なり、生まれてから獲得する排除システムを言います。
とは言え、システムそのものは生まれたときから備わっています。
言い方を変えれば、外敵排除を行うロボットとロボットの生産システムは持っているけれど、外敵認識のプログラムが組み込まれていないというイメージです。

働きの中心となるのは、リンパ球と呼ばれる細胞群です。

さて、少々長くなってきましたが、免疫の中でも非常に大事なものをまだ説明していません。
それは、皮ふを始めとするバリアシステムです。

防壁による免疫

免疫力という単語でイメージされる場合、自然免疫や獲得免疫を指していることが多いようですが、そもそも侵入を許しているからこそ出番があるわけです。

ならば、侵入させない仕組みは無いのでしょうか?
当然、存在します。それが、皮ふや涙など様々な防壁システムです。

物理的なシステム

代表的なものは、皮ふです。皮ふがなければ、外敵が直接細胞の隙間や血管に侵入することでしょう。
また、涙、眉毛、まつげ、唾液、痰、場合によっては尿も物理的な排除システムとして機能します。
とにかく、寄せ付けないというシステムです。
また、くしゃみや咳も、物理的な排除システムとして機能しています。

科学的なシステム

さきほどの、物理的システムの多くが、科学的なシステムも備えています。
皮ふの表面は、弱酸性状態の皮脂をまとっています。これによって、弱酸性に弱い病原菌のたぐいは死んでしまいます。
唾液、涙などには様々な物質が含まれ、抗菌作用を持っています。デリケートな話ですと、精液や膣液だって殺菌作用や抗菌作用を持っています。
あとは、胃液なんかは体内最強の酸液ですから、口から入ってきた病原体を排除することが出来ます。

共存する細菌によるシステム

人間は、様々な細菌と共存することで生きています。
実は、皮ふのシステムは共存する細菌システムでもあります。皮脂を食べたバクテリアが弱酸性の物質を作り出すことで、皮膚表面が弱酸性を保てていると言う側面があります。
また、腸内フローラというのは、膨大な種類、また膨大な数の細菌からなっています。
当然、あとから来た病原菌とは敵対することになります。多くの場合、既存の腸内細菌は、あとから来た細菌たちを排除して腸内環境を維持することとなります。

免疫システムを強化するには

さて、ここまでごく簡単に、免疫について書いてきましたが、免疫システムを強化するにはどうしたら良いでしょう。

これはあくまでも、免疫という仕組みが潤滑にはたらくことが目的です。
外敵を排除する免疫の力が必要以上に強化されてしまえば病気になってしまいます。
この代表例がアレルギー疾患です。
アレルギーというのは、免疫細胞が過剰に反応していることで引き起こされます。

過剰に反応しないように免疫システムを強化するには、今までに出てきた仕組みを上手に後押ししてやればいいというわけです。

最優先は、「防壁システムの強化」でしょう。

防壁システムの強化

うがいや手洗い

うがい、手洗い、が二強です。
注意すべきは「殺菌作用のある薬を使わない」ということです。
非常に大事なことですのでもう一度書きます。
普段は、うがいにも手洗いにも「殺菌作用のある薬を使わない」でください。

日常生活で、殺菌作用のある薬を使うタイミングは、ノロだとかO-157だとか、インフルエンザだとか、何らかの感染症が流行しているときだけです。

共存する細菌も含めて防壁システムを構成していますので、これらも一掃してしまう殺菌作用のある薬は、「免疫システムを弱体化」させているに過ぎません。

皮脂を大事に

手洗いも、ついでに言えば体中の皮ふも、洗いすぎないことです。
先に書きましたが、皮脂は防壁システムのひとつです。これを完全に洗い流すことは、「免疫システムの弱体化」につながります。

獲得免疫の強化

獲得免疫というのは、生まれた後に獲得するものですから生活によって変わって来ることになります。
最も分かりやすい例がワクチン接種です

ワクチン接種

獲得免疫に関係する細胞は、敵の目印を見つけて攻撃を加えます。
ということは、目印の情報をあらかじめ知らなければ攻撃ができないということになります。
ワクチンというのは、病原体の力を弱めて注射をすることで、免疫細胞に目印の情報を知らせるための方法なのです。

ワクチンを接種しなくても病気にかかってしまえば同じことなのですが、中には命にかかわるような病気もあります。
このため、力を弱めた病原体を使って、病気になったのと同じ効果を得ようという訳です。

必要以上に滅菌しない

ワクチンのところでも説明したように、獲得免疫は敵の情報を知ることが必要です。
この情報は、ワクチンだけでなく毎日の生活の中でも獲得しています。

身の回りは、病原体であふれており、毎日のようにからだの中に入ってきています。
身の回りを殺菌・滅菌するということは、免疫細胞が学ぶ機会を失ってしまう事になります。

例えばアレルギー疾患は、ある程度汚れたというか、雑多な環境に住んでいる人ほどかかりにくいという研究があります。
ある程度からだを慣らしていないと、いざという時には過敏な反応が起こりやすくなるのです。

アレルギーでなくても、からだが弱った時に免疫細胞が知らない外敵が入ってきたら病気がひどくなってしまいます。

このことから、病気が流行しているときでもなければ、殺菌効果のある薬は使わない方が良いというわけです。

自然免疫の強化

自然免疫は、生まれながらにして持っている免疫です。このことから、ワクチンのような分かりやすい方法というものはありません。

自然免疫をになう細胞というのは、白血球と呼ばれる細胞群です。
血液の成分ですから、普段から栄養不足だったり、からだが上手く働かないような状況だと作られにくくなります。

栄養の補給

人のからだは、何と言っても栄養によって維持されています。偏食や過度なダイエットは非常に良くありません。

血液が順調に作られないということは、免疫細胞も減ってしまうからです。

ビタミンDの補給

免疫に特別な栄養というものは基本的には無いのですけれど、ビタミンDは免疫細胞と深い関わりを持っている成分のひとつです。

ほとんどの細胞には、ビタミンDを結合させるための部品が備わっています。
免疫細胞も例外ではありません。ビタミンDが免疫細胞と結合することで、免疫細胞が活発に働くようになるのです。

ある論文では、ビタミンDを積極的に接種することでインフルエンザにかかる割合を減らすことが出来たと書かれています。
ビタミンDについては、以前書いた記事がありますので参考にしていただくと良いかと思います。

知っていそうで知らないビタミンD(ビタミンDの6つのはたらき)
日焼け止めでビタミンD不足?

休息を大事にする

疲労が蓄積されると病気にかかりやすくなります。ここを見られているような方だとほとんどは体験済みではないでしょうか。

疲労については、頑張って書いた記事がありますので参考にしてください。
慢性疲労から抗がん剤まで、疲労回復に役立つ15のポイント

記事にもあるように、疲労というのは中枢神経が疲れていることで様々な影響を引き起こしています。

24時間からだを制御している中枢神経が疲れて上手に働かなくなったら、病気にかかりやすくなるのは何の不思議もありません。
ありとあらゆる場所で、バランスが崩れていきます。

疲労の回復は、何と言っても休息が必要です。
中枢神経が疲れているのですから、中枢神経が休める様にしてやらなければなりません。

「息抜き」などと言う言葉がありますが、ストレスの発散や気分転換にはある程度の効果を発揮しますが、息抜きと休息は全く意味が異なります。

休息というのは、最も分かりやすく言えば「寝ること」です。
目や耳は起きているだけで膨大な情報を脳に処理させています。寝てしまえばこれらの処理は止まります。
「アイマスクをする」「耳栓をする」ことは睡眠に近い効果を発揮しますのでオススメです。

まとめ

かなり長かったので、ここまでの記載をリストにまとめてみましょう。

・免疫の種類は大きく3種類「自然免疫」「獲得免疫」「防壁機能」
・自然免疫は、生まれた時から持っている力
・獲得免疫は、生まれてから生活の中で獲得していく病原体の情報のこと
・防壁機能は、皮ふや涙など外敵を寄せ付けないための仕組み
・防壁機能には、「物理的な防壁」「化学的な防壁」「共存する細菌による防壁」の3種類
・免疫の力は高ければ高いほど良いわけではなく、バランスが大事
・アレルギーは免疫細胞の力が過剰になっている病気

・免疫を高めるには防壁機能をだいじにすること
・ワクチンを始め、生活の中で獲得免疫に情報を与えていくこと
・殺菌効果のある洗剤などは、特別な理由がない限りは使わないこと

・栄養不足や偏りは、免疫細胞が作られるのを邪魔します
・ビタミンDは免疫細胞に働きかけて活動を活発にします

・疲労は中枢神経の疲れ、中枢神経が疲れるとからだが上手くはたらかない
・疲労回復には「睡眠」や「休息」が必要。「息抜き」は無意味。

ぜひ参考になさってください