フコイダンとフコキサンチンの通販TOP > 大石先生の記事 > お茶にはどんな成分が含まれている?

お茶にはどんな成分が含まれている?

前回の記事で、喫茶養生記と言う約800年前の書物に書かれている内容の多くが、現代の医学でも説明できることをお伝えしました。

喫茶養生記にかかれていたのは、以下の様な効能でした。
・心臓に良い
・二日酔いに良い
・目が覚める
・元気が出る
・糖尿病
・からだの麻痺
・食べ物を受け付けない
・できもの、腫れ物
・脚気

今回はお茶にはどんな成分が含まれているのか、どんな働きがあるのか、そして喫茶養生記の効能とどんな関係にあるのかをお伝えしようと思います。

緑茶に含まれている成分

緑茶には様々な成分が含まれていますが、どんな成分が含まれているのでしょうか?
代表的なものを以下に列記してみましょう。
・カテキン
・カフェイン
・テアニン
・ビタミン類
・GABA
・クロロフィル(葉緑素
もちろん、まだ他にも成分は含まれていますが、有名どころはこんなところです。
これから一つづつ解説してゆくこととします。

カテキンとそのはたらき

カテキンというのは、緑茶に含まれる渋みの成分です。
渋みの成分を含む植物は、世界中に数え切れないほど存在しますが、有名なものにはそれぞれ名前が付けられています。
これらをまとめて、タンニン類と呼んでいます。
カテキンの効能と言われているものは幾つもありますが、今回は代表例として2つ挙げてみたいと思います。

がん細胞の活動を抑制する

カテキンには様々なはたらきがあることが知られています。
最も有名なはたらきの一つは、弊社ページでも紹介した、がん細胞の活動を抑制するはたらきでしょう。
九州大学の立花宏文教授は、がんとカテキンの研究では世界でも最先端を走る先生です。

血糖値の上昇を抑える

喫茶養生記に書かれていた、糖尿病に対する効果はこのカテキンによるものでしょう。
検査機器もない時代に良くそんなことがわかったものだと感心します。
糖尿病はその当時、飲水病と呼ばれていましたが、これは糖尿病患者が水を飲みたがることに由来しています。
血糖値が高くなりすぎていることから、これを薄めようとからだが水を要求しているのです。
緑茶を飲んだ糖尿病患者が欲しがる水の量が減ったのかもしれません。

カテキンと糖尿病の関係については、様々な論文が発表されています。*緑茶カテキンが、αアミラーゼという酵素を邪魔することでブドウ糖の吸収を邪魔しているというのがそのメカニズムです。

カフェインとそのはたらき

カフェインは、緑茶だけでなく、コーヒーを始めとした飲料に含まれている苦味の成分です。
どんな働きがあるかと言うのは、大抵の方であればご存知のことと思います。

覚醒作用

カフェインには、眠気や疲労をとる覚醒作用があります。
喫茶養生記にある、「目が覚める」「元気が出る」というのはこのカフェインの覚醒作用から来ていると考えられます。

利尿作用

また、カフェインには利尿作用があることも知られています。
お茶を飲むと、おしっこが出やすくなるのですが、これも喫茶養生記に書かれています。

二日酔い予防

これは、いくつもの働きが合わさってのことだと考えられます。
二日酔いは、飲みすぎてお酒が分解しきれていない状況で起こるものです。カフェインの持つ利尿作用は分解されたお酒をどんどんと尿中に排泄することが出来ます。
また、ぼんやりした頭を覚醒作用によってハッキリさせることが出来ます。
これらを合せると、二日酔い防止に効果があると言うこととなるのでしょう。
やはり、喫茶養生記にも書かれているはたらきです。

テアニンとそのはたらき

テアニンは、緑茶に含まれる旨味の成分です。あのお茶独特の旨味はテアニンによるものです。
そんなテアニンにも、旨味以外の働きがあります。

脳神経細胞保護作用

これは、伊藤園と愛媛大学が共同研究にて発表**したものです。
テアニンを摂ったネズミと摂らなかったネズミを飼育して、3分間脳細胞に血液が供給されないように処理しました。
その1週間後、それぞれのネズミの脳細胞の一部(CA1領域)の脳細胞を調べたところ、テアニンを摂らなかったネズミの脳神経細胞は殆どが死滅していたとあります。
またテアニンを摂ったネズミは、テアニンの摂取量に比例して残された脳神経細胞の数が増えていました。
この様に、普段からテアニンを摂っていると、イザという時に脳神経細胞が保護される可能性があるのです。

ビタミン類とそのはたらき

緑茶には様々なビタミンが含まれています。
代表的なものとしては、ビタミンC、ビタミンB2、葉酸、ビタミンA、ビタミンEが含まれています。

ビタミンは、それぞれに良い働きを持っていますが、喫茶養生記にある働きで言うと、からだの麻痺に対する効能に該当するかもしれません。
喫茶養生記に言われる麻痺というのは、脳卒中からのものと考えられていますが、脳卒中後の麻痺を緑茶のビタミンで改善できるというのはさすがに無いのかなと思います。
ただ、麻痺は麻痺でも、ビタミンEが不足して起こる歩行障害(上手に歩けない)とを見分けることができなかった可能性があります。
緑茶には、ビタミンEが含まれていますので、ビタミンEの不足を解消することで歩行障害が改善する可能性があります。

GABAとそのはたらき

GABAは、ストレスを改善してくれるはたらきがある成分です。
先日の記事でも書いたように、ストレスは心臓に悪いのでこれを改善することは、心臓に良いと言えるでしょう。
また、血圧を下げる働きがありますので、より心臓に良いと言えるでしょう。

クロロフィルとそのはたらき

クロロフィルというのは、別の名前で言うと葉緑素です。
以前、記事にしたことがありますが、GREENガムと言う古くからあるガムに含まれています。
クロロフィルには消臭効果がありますので、口の臭いに効果的だというわけです。

今回は、緑茶に含まれる様々な成分と、そのはたらきについて説明してみました。

最後に、喫茶養生記の記載との答え合わせをしてみましょう。
・食べ物が食べられない
・できもの、腫れ物
・脚気
これ以外は、現代の医学でも説明できる内容です。
約800年前の書物に記載された内容の9個中6個までもが説明可能というのはかなり凄いことではないでしょうか。

参考文献

*緑茶カテキンと糖尿病に関する論文2017年発表のものから幾つか列記しています
Astilbe thunbergii reduces postprandial hyperglycemia in a type 2 diabetes rat model via pancreatic alpha-amylase inhibition by highly condensed procyanidins.
Kato E, Kushibiki N, Inagaki Y, Kurokawa M, Kawabata J.
Biosci Biotechnol Biochem. 2017 Sep;81(9):1699-1705.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28743229

Hepatoprotective and hypoglycemic effects of a tannin rich extract from Ximenia americana var. caffra root.
Sobeh M, Mahmoud MF, Abdelfattah MAO, El-Beshbishy HA, El-Shazly AM, Wink M.
Phytomedicine. 2017 Sep 15;33:36-42.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28887918

Differential α-amylase/α-glucosidase inhibitory activities of plant-derived phenolic compounds: a virtual screening perspective for the treatment of obesity and diabetes.
Rasouli H, Hosseini-Ghazvini SM, Adibi H, Khodarahmi R.
Food Funct. 2017 May 24;8(5):1942-1954.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28470323

**緑茶に含まれる旨味成分・テアニンに 脳神経細胞の保護作用があることを動物実験で解明
(伊藤園・愛媛大学共同研究プレスリリース)
https://www.itoen.co.jp/company/research/result/detail.php?id=24002